チョコレートとワインのハーモニー ~甘みと渋みと刺激
みんな大好きチョコレート。ワインとチョコを一緒に楽しもうというお話です。
チョコレートに普通のワインは全く合いません。チョコレートを食べた後に”みかん”を食べても酸っぱいだけですよね。それに近い感じです。
ワインの果実味はチョコレートの強烈な甘さに太刀打ちできないんです。ワインが酸っぱいだけのアルコールに変わってしまいます。でも、チョコレートの甘みと苦味をしっかりと受け止め、最高のハーモニーを奏でる甘口赤ワインがあります。
その前に私の苦い思い出
以前、カリフォルニアのワイナリーを巡った時です。ホテルの朝食で出されたチョコレートたっぷりのパンを食べてしまいました。いや、とっても美味しそうだったんです。その日は午前中から楽しみにしていたワイナリーに行くことになっていたにもかかわらずです。
チョコレートの余韻が残っていたのでしょう。食べてから数時間たっても全くワインの味がわからず、テイスティングになりませんでした。ただただスッぱいワインを味わう私…。
ですから、今は仕事やワインテイスティングの前には甘いものを一切口にしません!良い教訓になりました。
それでもチョコレートとワインを合わせるのですか?という話ですが、面白いワインがあるんです。
さて、チョコレートは”強い甘み”と”苦味”そして”刺激”が特徴のかなり個性の強い食べ物です。この個性にワインを合わせようと考えるなら、
・しっかりとした”甘み”がある方がよい。
・チョコレートの苦味には白ワインよりも赤ワインの”渋味”が合う。
・チョコレートの刺激に合わせるためにアルコール度数は高い方がよい。以上を考慮します。
見方を変えれば、チョコレートの甘みも渋みも刺激も強いアルコールであれば対応できるので蒸留酒、特に焦がした樽を使うバーボンやウィスキーなどと合わせることもステキな選択です。
一方で、アメリカでは樽のしっかり効いた濃厚なカベルネ・ソービニヨンとチョコレートを合わせる方もいらっしゃいます。
樽の香ばしさ、カベルネ・ソービニヨンの渋みは悪くありません。しかし、チョコレートの強い甘みと刺激が果実味をかき消し、どうしてもワインを薄っぺらい液体に変えてしまいます。合わせるということが両者を高めあうという意味であれば、私はこの組み合わせを疑問に思います。
さて、先ほどの条件を満たし、チョコレートと最高のハーモニーを奏でるワインがあります。南フランスの”バニュルス”という甘口ワインとポルトガルで造られるヴィンテージポートです。
ところで、この”バニュルス”や”ヴィンテージポート”とはなんぞやということですが、一般的なワインはブドウ果汁中の糖分を基本全てアルコールに変えるのですが、その糖分がまだ残っている段階でブランデーを添加して発酵を止めてしまい、甘口に仕上げた『酒精強化ワイン』と呼ばれるワインの一種です。
スペインのシェリー(辛口もあります)、ポルトガルのマディラなども同じ酒精強化ワインの仲間です。
このバニュルスやヴィンテージポートは酒精強化ワインとして<やや高めのアルコール度数>、<甘さと強さ>、そして赤ワインとしての<渋み>を特徴とするなど、チョコレートにあわせる為の理由に則しています。
※酒精強化ワインには白ワインも存在します。
チョコレートとこれらのワイン、まさにハーモニー、どちらも高め合う素晴らしい関係なんです。
機会がありましたら是非、お試しください。